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佐藤 達彦; 佐藤 大樹; 遠藤 章
放射線, 32(4), p.233 - 238, 2006/10
高エネルギー加速器施設の遮へい体外側では、従来の線量モニタでは測定が困難な高エネルギー中性子,光子及びミューオンによる被ばくが問題となる。そこで、われわれは、有機液体シンチレータBC501AとLiを含有したZnS(Ag)シートを組合せた複合型シンチレータに、その発光量を線量に直接変換するスペクトル荷重関数(G関数)を適用することにより、熱エネルギーから1GeVの中性子,150keVから100MeVの光子,1MeVから100GeVのミューオンによる線量を同時にリアルタイムで測定できるシステム「DARWIN」を開発した。発表では、放射線分科会が企画するシンポジウム「中性子計測技術の最新の展開」の一環として、DARWINの測定原理及び特性に関して説明する。
佐藤 達彦; 仁井田 浩二*
no journal, ,
大気中における宇宙線由来の中性子エネルギースペクトルは、航空機乗務員の被ばく線量評価だけでなく、地表面における半導体ソフトエラー発生率推定の際に、極めて重要となる。しかし、そのスペクトルは、高度・地磁気強度・太陽活動周期・周辺環境等に複雑に依存するため、それを十分な精度で予測可能なモデルは存在しなかった。そこで、われわれは、粒子輸送計算コードPHITSを用いた計算値を系統的に解析し、高度20km以下の任意の地点における中性子スペクトルを予測可能なモデルを開発した。また、モデルによる予測スペクトルと測定結果を比較し、開発したモデルが従来のモデルと比べて格段に精度良いことを明らかにした。
小池 雅人; 石野 雅彦; 笹井 浩行*
no journal, ,
光子エネルギー18keVの軟X線領域は元素の内殻吸収端が多数存在し、最近蛋白質の結晶構造解析で硫黄のK吸収端(2.5keV)が、宇宙物理学における宇宙の起源解明に関連する鉄のK吸収端(7.1keV)が、磁性体材料研究で白金のM吸収端(2.1keV)などが注目されており、今後軟X線分光学の進展の鍵を握る領域となりつつある。しかるにこの領域で分光測定を行おうとする場合、分解能,スループットの確保のため、低エネルギー側では回折格子、高エネルギー側では分光結晶と複数の分光装置を用いるのが通例である。そこで本研究では18keVの領域を通じて使用できる高効率回折格子分光光学系の設計を目的とした。基本的な構成は可変偏角のMonk-Gillieson型とし、結像鏡(M1)は球面鏡で金蒸着、不等間隔溝平面回折格子(G)及び可動平面鏡(M2)は多層膜蒸着と仮定した。講演では、回折格子,装置設計のほか、高輝度放射光源に設置されたアンジュレータを光源とした場合の分解能,スループットの計算結果について、光学素子がすべて金蒸着の場合と比較しながら述べる。
岡田 美智雄*; Vattuone, L.*; 盛谷 浩右*; Gerbi, A.*; Savio, L.*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; Rocca, M.*; 笠井 俊夫*
no journal, ,
銅(Cu)の酸化過程を解明することは、その酸化物が高温超伝導体や太陽電池の材料になることから産業上重要である。しかし、酸化過程がどのように進行しCu酸化物が生成するのかそのダイナミクスの詳細はわかっていない。これまで、われわれは、Cu(100)、並びにCu(110)表面上での超熱酸素分子線を用いた酸化物生成初期過程の研究を行ってきた。今回、格子欠陥の効果を明らかにするためにステップの多いCu(410)表面を意図的に用いてその効果を調べた。CuO生成が始まる0.5モノレーヤー以上では、(410)表面での酸化物生成効率は(100)並びに(110)表面の中間に位置することがわかった。これらは、(410)表面が(100)テラスと(110)ステップ面から構成されることから理解できる。
吉越 章隆; 盛谷 浩右*; 成廣 英介; 寺岡 有殿
no journal, ,
Si(111)-77に室温でOを暴露すると解離吸着過程の前駆的吸着状態の一つと考えられる分子状吸着状態が光電子分光で観測されている。一方、分子線実験から入射エネルギーがおおむね0.08eVを境として前駆的吸着状態を経由した吸着過程から直接吸着過程へ変化することが報告されている。吸着機構の詳細を明らかにするために放射光光電子分光を用いて分子状吸着状態の入射エネルギー依存性を「その場」観察したので報告する。実験は、SPring-8のBL23SUに設置したSUREAC2000において行った。入射並進運動エネルギーは、加熱ノズルとシードビーム法を用いて制御し、表面垂直から10傾けて超音速酸素分子線を室温にて照射し、照射中に約680eVの放射光を用いてO1s内殻準位の高分解能光電子分光測定を行った。前駆的吸着状態を経由した解離吸着過程が支配的と考えられる入射エネルギー(E)が0.06eVのとき、照射量が8.4310molecules/cmにおける高分解能O1s光電子スペクトルには、準安定分子状吸着状態に対応するピークが明瞭に観測され、エネルギーの増加とともにそれが減少することを明らかにした。
横田 久美子*; 浅田 秀俊*; 田川 雅人*; 大原 久典*; 中東 孝浩*; 吉越 章隆; 寺岡 有殿; Martin, J. M.*; Belin, M.*
no journal, ,
水素化ダイアモンドライクカーボン(DLC)は真空中で超低摩擦を示すため宇宙用潤滑剤としての応用が期待されている。そこで、低軌道の宇宙環境を模擬してレーザーデトネーション法により原子状酸素をDLCに曝露した後、それを表面分析した結果について報告する。実験に用いたのはSi上にRF-CVD法により成膜した水素化アモルファスDLCである。宇宙環境実験装置では原子状酸素と宇宙機の相対衝突エネルギーを再現できる。原子状酸素照射後のDLC膜の評価にはSR-PESなどを用いた。SR-PES測定はSPring-8のBL23SUに設置された表面化学反応分析ステーションで行った。並進エネルギー4.2eV,フルーエンス510atoms/cmの原子状酸素を照射したDLCでは、表面で気化酸化物が形成され、脱離していることが示唆された。
高橋 正光; 海津 利行
no journal, ,
半導体ナノ構造成長のモニター手法として、界面構造にも感度があるX線分析に対する期待は大きい。近年、X線回折強度の逆格子空間内での分布を測定することで、ナノドットの三次元形状や、格子定数分布、さらには組成分布を求めることも行われている。われわれは、これらのX線評価技術を、成長中のその場・リアルタイム測定に使えるように迅速化することを目指して研究を進めてきた。実験は、放射光施設SPring-8のBL11XUに設置した、X線回折計とMBE成長槽とを一体化した装置を用いておこなっている。この装置とX線CCD検出器を組合せることで、半導体ナノドットの成長過程を10秒以下の時間分解能でX線測定する方法を開発した。本講演では、量子ドットレーザーへの応用が考えられているGaAs(001)基板上のInAsナノドットの分子線エピタキシー成長を対象とする。その成長中に、ドット内の格子定数分布・ドットの高さ・In-Ga組成分布が変化していくようすを、リアルタイムX線回折の手法によって測定できることを示す。
高橋 正光
no journal, ,
GaAs(001)基板上のInAs量子ドットの成長機構に、量子ドット内部のひずみが主要な役割を果たしていることは広く認識されている。ひずみを議論するさいには、格子定数ばかりでなく、ドットと基板との間の合金形成を反映した組成の分布も考慮に入れる必要がある。近年、半導体ナノ構造に対するX線分析の手法に大きな進歩があり、量子ドット内部の格子定数と組成の分布の両方を決定することができるようになってきた。われわれは、量子ドット成長中のその場・リアルタイムX線測定を実現するために、放射光施設SPring-8のBL11XUにおいて、X線回折計とMBE成長槽とを一体化した装置を用いた研究を進めている。この装置とX線CCD検出器を組合せることで、半導体ナノドットの成長過程を10秒以下の時間分解能でX線測定する方法を開発した。本講演では、この手法をInAsの連続的な成長過程及びAs雰囲気中でのアニール過程とに適用した測定結果に基づいて、量子ドット内部のひずみ・組成と成長機構との関係について議論する。
富樫 秀晃*; 加藤 篤*; 山本 喜久*; 今野 篤史*; 末光 眞希*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 成田 克*
no journal, ,
Si(110)面は正孔移動度がSi(100)面と比較して大きいため、より高速の電子デバイス動作が期待されている。また3次元フィン型トランジスタ構造に用いられる面方位として高集積化の観点からも有望視されている。しかし、デバイス作製の鍵を握る極薄酸化膜の初期形成過程は、これまでほとんど解明されて来なかった。今回われわれはリアルタイム放射光光電子分光法を用いてSi(110)-162清浄表面の初期酸化過程における酸化物被覆率の時間発展を観察した。その結果、例えば基板温度540C,酸素圧力1.110-5Paで酸化した際に、酸化開始直後に表面の数10パーセントが酸化される急速初期酸化過程が存在することを見いだした。このような急速初期酸化過程はSi(001)-21表面の初期酸化過程では見られないものであり、Si(110)-162再配列表面に周期的に存在するアドアトムクラスターと関連付けて理解される。たとえばpentagon-pair modelでは5個の原子から構成されるアドアトムクラスターが表面に0.25ML存在するとされており、今回得られた初期酸化被覆率と矛盾しない。
加藤 篤*; 富樫 秀晃*; 山本 喜久*; 今野 篤史*; 成田 克*; 末光 眞希*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆
no journal, ,
Si(110)面は正孔移動度がSi(100)面と比較して約1.5倍大きく、また3次元デバイスの活性面として使われている。しかし、デバイス作製の鍵を握る極薄酸化膜の初期形成過程は、これまでほとんど解明されて来なかった。われわれはリアルタイム放射光光電子分光法を用い、酸素を用いたSi(110)-162清浄表面の室温酸化過程における酸化物被覆率の時間発展を観察したので報告する。酸素圧力1.110Paで室温酸化したときのO1sスペクトルの時間発展では、酸素供給量の増大とともにO1sピーク強度が増大し、同時にピーク位置が高結合エネルギー側にシフトする。このピークシフトは、内殻結合エネルギーの異なる二種類の酸化状態が存在し、それらの強度が酸化の進展に伴って異なる時間発展を持つことに由来する。各ピーク強度の時間発展、Si2pスペクトル挙動、及び、熱的安定性の評価から、Si(110)表面の室温初期酸化がSi(100)面にない特徴的な反応を示すことを見いだした。これらはSi(110)-162再配列構造に存在するアドアトムクラスターの存在と関連付けて理解することができる。
島田 幸洋; 西村 昭彦
no journal, ,
原子力材料の応力腐食割れの原因となる、金属加工硬化層の残留応力を計測すべく、非接触の音速測定法である、パルスレーザーを用いた誘導ブリルアン散乱法の開発を行った。測定系を構築した後、最初に液体試料の音速測定を実施し原理実証を行い、従来技術である接触式超音波法との測定数値の比較を行った結果、有効数値3桁までの良い一致をみた。次にステンレス表面にて測定を行い、表面を伝播するモードの音波の伝播速度を測定した。従来法での測定結果での音速数値を比較し、本測定法の評価を行った。
笹瀬 雅人*; 岡安 悟; 山本 博之; 山口 憲司; 社本 真一; 北條 喜一
no journal, ,
鉄シリサイドは、半導体相である-FeSiと、それ以外の金属相とに区別することができる。このため、構造,組成変化により金属相と半導体相を作り分け、その物性を変化させることも可能である。一般的に固体中に高エネルギー重イオンを照射すると、局所的に高密度電子励起状態が生成し、軌跡に沿って組織変化が生じる。本研究ではこの特性を利用し、イオン照射により引き起こされるナノ構造変化を観察するとともに、半導体相(-FeSi)中への金属相の導入による物性変化の可能性について検討を行った。-FeSi薄膜試料に対し、原子力機構・タンデム加速器を用いて、95MeV Ni, 180MeV Feの各イオンを照射量110ions/cmで、a軸に平行に室温照射した。X線回折測定ではイオン照射による明らかな構造変化(相転移)は観察できなかったが、TEM測定からは薄膜内の構造変化が認められた。この結果からFeイオン照射により、照射方向に対して平行に平均直径2nm程度の円柱状の欠陥が生成することを明らかにした。
大場 弘則; 赤木 浩; 横山 淳; 山田 洋一; 山本 博之
no journal, ,
Si同位体は高性能半導体デバイスへの応用が考えられており大量かつ迅速に分離する技術が求められている。SiF分子を対象とした赤外レーザー光照射では、同位体選択的に解離(SiF+nh SiF+SiF)させると、未分解SiFにSiが、分解生成物SiFとSiFにSi, Siが濃縮する。われわれは、弱い振動励起光で同位体選択的に振動励起した後に、異なる波長の強い分解光で振動励起した分子を選択的に多光子分解させる赤外二波長照射を適用することにより高効率のSi同位体濃縮を可能にした。これまでにSiの大量生産に向けた連続濃縮技術の開発を行ってきた。今回は、中性子照射によるSiPの核変換を利用した半導体デバイス創製への応用のため、Si濃縮実験を行った。Si濃縮と同じ照射波長で、原料ガス流量と圧力及びレーザー照射パルス数を変化させて、SiFの分解を抑えることによりSi濃度を高めたところ、約10%(天然存在比: 3.1%)のSiを含む分解生成SiFが0.1g/hrの生成速度で得られた。
中井 直史*; Chiang, T.-Y.*; 宇野 秀隆*; 手老 龍吾*; 鈴井 光一*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 牧村 哲也*; 村上 浩一*; 宇理須 恒雄*
no journal, ,
SFを反応ガスとして用いたSiOのエッチングをMEMSなどに応用する場合にはミクロンオーダー深さのエッチングを行う必要があり、従来よりもエッチレートを二桁大きくする必要がある。XeFを用いたドライエッチングはSiに対するエッチレートが600nm/minと大きく、MEMS等でしばしば用いられているが、等方性エッチングとなり、SiOがエッチングできないなど材料選択上の制約も多い。そこで、XeFと放射光を併用した光励起エッチングを行うことにより、SiOの異方性エッチングを可能とする。そのためにXeF放射光エッチング用セルを設計し、製作した。
赤羽 温; 青山 誠; 辻 公一; 河仲 準二*; 西岡 一*; 山川 考一
no journal, ,
高輝度アト秒光量子ビーム生成を目指し高強度数サイクルレーザーシステムの開発を行っている。パルス幅が光電場の数サイクルに相当する400nm程度の超広帯域レーザー光の増幅が必要となるため、われわれは非同軸光パラメトリックチャープパルス増幅(OPCPA)に着目し、さらに励起光源にCPAレーザーシステムで増幅した広帯域光を用いることによりさらなる広帯域増幅を目指している。この目的のため、低温冷却Yb:YLF結晶を用いたCPAレーザーシステムをOPA励起に最適な光源として整備した。発振器からの中心波長1017nm,パルス幅80fsのレーザー光を1.2km偏波保存単一モードファイバーにより800psにパルス幅伸張し、液体窒素温度冷却Yb:YLF結晶を用いた再生増幅器で増幅した後、回折格子対によりパルス圧縮を行い、2.2psの圧縮パルスを得た。この圧縮パルスを波長変換結晶により2倍波に波長変換し、OPAの励起光として用いている。
岩本 直也; 大島 武; 佐藤 隆博; 及川 将一; 小野田 忍; 菱木 繁臣; 平尾 敏雄; 神谷 富裕; 横山 琢郎*; 坂本 愛理*; et al.
no journal, ,
炭化ケイ素(SiC)のイオン照射効果を明らかにするため、SiCダイオードに金(Au)イオンが入射する際に発生する過渡電流計測を行った。実験には、p型エピタキシャル6H-SiC膜にリン(P)イオンを注入して作製したnpダイオードを用いた。10及び12MeV-Auイオン入射によるイオンビーム励起過渡電流(TIBIC)を測定し、TIBICシグナルを時間積分することで収集電荷量を求めた。その結果、得られた収集電荷量が、理想値の50%程度であることが判明した。これまで、酸素及びシリコンイオンでは、実験的に得られた収集電荷量は理想値とほぼ一致することを明らかにしているが、今回のAuイオン照射で得られた結果は、Auイオンのような重イオンが入射することで、SiC中に高密度の電子-正孔対が生成され、その一部が再結合により収集前に消滅するためであると考えられる。
宮本 晴基; 大島 武; 佐藤 真一郎; 今泉 充*; 伊藤 久義; 河野 勝泰*
no journal, ,
InGaP/GaAs/Geからなる3接合(3J)太陽電池は、高い変換効率に加えて優れた耐放射線性を有することから、宇宙用太陽電池の主流になりつつある。放射線照射によって劣化したInGaP太陽電池は、電流を注入することで電気特性が回復することが知られており、われわれはトップセルにInGaPが用いられている3J太陽電池の電気特性も同様に回復することを報告してきた。今回は、InGaP層に局所的な損傷を与える50keV、あるいは3J太陽電池に均一な損傷を与える10MeVのプロトンをそれぞれ1.210, 310/cm照射することで同程度特性を劣化させ、その劣化した3J太陽電池に順方向電流を注入して電気特性の回復挙動を比較した。その結果、どちらのエネルギーにおいても注入電荷量の増加とともに短絡電流()が回復することが確認された。また、どちらのエネルギーにおいてもの回復率と注入電荷依存量の関係にはほとんど差異がないことが見いだされた。したがって、回復は照射欠陥の分布よりも総量に依存していると考えられる。
森岡 千晴*; 島崎 一紀*; 川北 史朗*; 今泉 充*; 大島 武; 伊藤 久義; 岐部 公一*
no journal, ,
次世代の3接合(3J)太陽電池のトップセル材料として有望なAlInGaPの耐放射線性を明らかにするため、ベース層のキャリア濃度と耐放射線性の関係を調べた。実験では、GaAs基板上に有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、ベース層の厚さ1m,キャリア濃度310, 610, 910及び310cmのAlInGaP太陽電池を作製した。これら太陽電池に、1MeV電子線を照射し特性劣化を評価した結果、照射量が310cmまでの領域ではキャリア濃度が高いほど開放電圧(V)が高いが、それ以上の照射量では傾向が逆転し、キャリア濃度が高いほどVが低いことが見いだされた。一方、短絡電流(I)の劣化に関しては、キャリア濃度の違いによる差はほとんど見られなかった。Iの劣化はおもに少数キャリア拡散長の低下に起因し、Vの劣化は多数キャリア濃度の減少による拡散電位の低下やリーク電流の増加に起因することを考慮すると、AlInGaPでは、拡散長の損傷係数はベース層のキャリア濃度には依存しないが、キャリア濃度減少率はベースのキャリア濃度に依存すると結論できる。
中川 聰子*; 曽根 理嗣*; 田島 道夫*; 大島 武; 伊藤 久義
no journal, ,
SOI基板は次世代の半導体デバイス用基板として非常に注目されているが、Si活性層厚が20200nmと極薄であるため軽元素不純物の評価が非常に困難であり、評価法が確立されていない。本研究では、照射誘起欠陥がもたらす発光センターを利用し、高精度かつ高感度なフォトルミネッセンス(PL)スペクトル測定を行うことにより、Si極薄活性層中の軽元素不純物の検出を試みた。1MeVでの電子線照射により基板及び極薄SOI層の軽元素を発光活性化させた各製法(UNIBOND, SIMOX, ELTRAN)によるSOIウエハー及び数十keVでのXeイオン注入により極薄SOI層のみを発光活性化したSOIウエハー(UNIBOND, SIMOX)に対し、可視光レーザー(Kr: 647nm)/紫外光レーザー(ArUV: 364nm)によるPLスペクトル測定を4.2Kにて行った。その結果、電子線照射ではシリコン基板及び極薄SOI層で、Xeイオン注入では極薄SOIのみで発光活性化が起こり、紫外光レーザー励起により、軽元素不純物である炭素及び酸素が極薄SOI層中で検出された。また、各種SOI層で発光(C, G-line)の現れ方に違いが見られ、不純物濃度が製法により異なることが見いだされた。
石野 雅彦; 小池 雅人; Heimann, P. A.*; 笹井 浩行*; 畑山 雅俊*; 竹中 久貴*; 佐野 一雄*; Gullikson, E. M.*
no journal, ,
1-8keVのX線領域は物性研究や生命科学等の広い分野で利用されつつある。しかし、回折格子分光器は2keVよりも高エネルギーで効率が極端に減少し、結晶分光器では構成元素による吸収構造や熱耐性など実用上問題が多い。そこで、1-8keVのX線領域で機能する回折格子、そして回折格子分光器の開発を目的として、多層膜をラミナー型回折格子基板上に成膜した多層膜平面回折格子の生成と評価を行った。多層膜としてW/C多層膜とCo/SiO多層膜をそれぞれマグネトロンスパッタリング法及びイオンビームスパッタリング法により成膜した。そして、回折効率を米国ローレンスバークレー国立研究所の放射光施設Advanced Light SourceのBL5.3.1及びBL6.3.2,立命館大学SRセンターのBL-11、そしてX線回折装置を用いて測定した。その結果、W/C多層膜が8keVにおいて38%, Co/SiO多層膜回折格子は6keVにおいて47%と、これまで報告されている中で最も高いと考えられる回折効率を得た。理論的に得られる回折効率と実験値との差は面粗さや多層膜構造の不完全性によるものと考えられるが、粗さの指標となるDebye-Waller係数で評価した場合、約1nmに相当しAFMや干渉計などほかの方法で得られた値とほぼ一致した。